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【セミナーレポート】位置情報データで可視化する「関係人口」のリアル

開催日時
2026年2月18日(水) 16:00
開催場所
丸紅本社4階 コミュニケーションラウンジ Oasis「Caravanエリア」

丸紅株式会社と日本テレワーク協会が共催したセミナー「働き方DXが創り出す『関係人口』の新潮流~企業と地域が対等に繋がる『地方共創』のカタチ~」に、データインサイトCOOの山元 陸が登壇いたしました。本記事では、働き方DXがもたらす変化と、位置情報データを活用して「関係人口」の解像度を高める手法について、最新の事例を交えた講演内容を凝縮してレポートします。

1. 「関係人口」の定義と市場の現状

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、特定の地域に継続的・定期的に関わりを持つ層を指します。

国土交通省の令和5年度調査によれば、全国の18歳以上の居住者のうち約22%(約2,263万人)がどこかの地域の関係人口であると推計されており、約5人に1人が該当する巨大な市場規模となっています。

この関係人口は、大きく2つのセグメントに分類可能です。一つは、物理的な訪問を伴い、地域を定期的に訪れて関わる「訪問型関係人口(約18.3%)」です。もう一つは、ふるさと納税や情報発信、オンライン活動等を通じて継続的に関わる「非訪問型関係人口(約3.7%)」であり、これら両側面から地域の活力を見極める必要があります。

2. 分析の起点は「目的設定」と「施策への連動」にあり

関係人口を可視化する上で最も肝要なのは、「何のために、誰を分析するのか」という目的設定の明確化です。位置情報データを用いれば「月一回以上訪問する人」といった属性抽出は容易ですが、それが具体的な施策に結びつかなければ意味をなしません。分析を価値に変えるためには、以下の3要素を構造的に整理する必要があります。

まず第一に「ターゲットの定義」です。例えば、週末に訪れるレジャー型なのか、あるいは平日も滞在するビジネス・ワーケーション型なのかを峻別しなければなりません。

第二に「評価指針の策定」です。延べ人数という「量」を追うのか、滞在日数や再訪率といった「深さ(質)」を重視するのかを決定します。

そして第三に「施策への連動」です。可視化されたデータに基づき、交通インフラの整備や宿泊施設の最適化、あるいは特定層へのプロモーションといった具体的なアクションへ繋げることが不可欠です。

これら3つのポイントはいずれも重要ですが、どの指標を優先するかは目的に応じて最適化されるべきであり、それによって分析手法も異なります。例えば、訪問頻度や日数を重視した分析の結果、「特定の都市圏から平日に繰り返し訪れる層」の存在が判明すれば、その層に向けてコワーキングスペースの案内や中長期滞在プランを提案するといった、極めて精度の高い施策展開が可能となります。

3. AI導入による「仮定」と「予測」の高度化

セミナー後半では、関係人口の可視化におけるAI活用の可能性について言及しました。関係人口には絶対的な正解が存在しません。そのため、分析には「何をもって関係人口と呼ぶべきか」という「仮定」と、「特定の自治体にどういった人が何名いるか」という「予測」を高い精度で行う技術が求められます。

例えば、滋賀県大津市の関係人口を導き出す際、仮定のフェーズとして「県外とのデュアルライフ(二拠点生活)を送る人」や「地域経済に半恒常的に貢献する人」をターゲットとして定義します。こうした曖昧な分析要件を具体的な数値に落とし込むためには、訪問頻度や日数、関わり年数、属性プロファイルなど多角的なパラメーターの調整が必要となります。これらのデータを適切に整備した上で、機械学習を用いた予測モデルを構築することで、より実効性の高い関係人口の推計が可能になると展望を述べました。

まとめ

多くの自治体が抱える人手不足、過疎化が加速する中、そこに住んでいる「常住人口」ではなく、その地域との関わりを持つ「関係人口」という新たな切り口を模索することで、各自治体が地域創生を目指しています。しかし、現在の関係人口を正しく計測する技術はなく、ゆえに関係人口を増やすための施策と効果計測が難しい状況にあります。

私たちは、このような課題をデータとAIの力で解決を目指し、まずは人流データを活用し関係人口の計測を進めています。国のデファクトスタンダードとなる関係人口の定義、計測方法を作り上げることで、課題を抱える自治体への一助となることを願っております。

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