大学生の生成AI利用率は84.0%、ただし7割超は無料プランのみ——大学生300人調査
データインサイトは2026年7月、全国の大学生・大学院生300人を対象に、生成AIの利用実態を調査しました。社会人を対象とした前回調査に続く独自調査の第2弾です。
この記事の要点
- 生成AIを利用している大学生は84.0%。週に数回以上使う層が63.7%を占める
- 最も使われているツールはChatGPT(82.9%)。次いでGemini(61.5%)が6割を超える
- 有料プランの利用は26.2%。自分で課金しているのは10.3%にとどまる
- 主な利用デバイスはスマートフォンが61.9%、PCは24.2%
- 大学が有料AIツールを提供しているのは6.3%。一方で56.0%が何らかの制限を受けている
1. 大学生の生成AI利用率は84.0%
「生成AI・AIツールをどのくらいの頻度で利用しているか」を尋ねたところ、何らかの頻度で利用している学生は84.0%でした。使っていない学生は16.0%です。
利用頻度 | 割合 |
|---|---|
ほぼ毎日 | 28.3% |
週に数回 | 35.3% |
週に1回程度 | 11.0% |
月に数回以下 | 9.3% |
使っていない | 16.0% |
注目したいのは頻度の高さです。「ほぼ毎日」と「週に数回」を合わせた週に数回以上の利用が63.7%と、全体の6割を超えています。すでに日常的な道具として定着していると言えます。
使っていない16.0%(48人)にその理由を尋ねると、最も多いのは「特に理由はない」で60.4%でした。「必要性を感じない」14.6%、「自分の頭で考えたい・力がつかない気がする」14.6%が続きます。「料金がかかる」を挙げた人は0%、「使い方がよくわからない」も2.1%にとどまりました。
つまり、使っていない学生の多くは、料金や難しさといった障壁にぶつかっているわけではありません。積極的に拒否しているというより、まだ使う機会に出会っていないという姿がうかがえます。
2. ChatGPTが8割、Geminiが6割
利用しているツールを複数回答で尋ねた結果です(分母=利用者252人)。
ツール | 利用率 |
|---|---|
ChatGPT | 82.9% |
Gemini | 61.5% |
Microsoft Copilot | 21.0% |
Claude | 13.9% |
NotebookLM | 4.0% |
Perplexity | 3.6% |
Genspark | 2.4% |
Notion AI | 2.0% |
ChatGPTが8割を超えて首位である一方、Geminiが61.5%と6割を超えた点が目を引きます。「最もよく使う1つ」に絞るとChatGPT 61.1%、Gemini 27.4%となり、Geminiをメインに据えている学生も4人に1人以上いる計算です。
当社が2026年6月に実施した大企業勤務者460人の調査(別配信・別サンプルのため参考比較)では、Geminiの利用率は39.3%でした。分母の取り方が異なるため単純比較はできませんが、学生側でGeminiが相対的に強い傾向は見て取れます。Androidスマートフォンや大学のGoogle Workspace環境との接点が影響している可能性があります。
3. 有料プランは26.2%、自腹は10.3%
料金プランを尋ねたところ、無料プランのみが72.6%を占めました。何らかの有料プランを利用しているのは26.2%です。
料金プラン | 割合 |
|---|---|
無料プランのみ | 72.6% |
自分でお金を払って有料プランを利用 | 10.3% |
大学が提供する有料プラン・アカウント | 6.0% |
学割・無料キャンペーンで有料プラン | 6.0% |
家族が契約している有料プランを利用 | 4.0% |
わからない | 1.2% |
有料プラン利用者26.2%の内訳を見ると、自分で課金しているのは10.3%で、残りの15.9%は家族・大学・学割といった他者負担です。つまり有料版を使っている学生の6割は、自分の財布を痛めずに使っていることになります。
裏を返せば、9割近い学生は自分の財布からは1円も払わずに生成AIに触れていることになります。学生が最新モデルや高度な機能にどこまで触れられているかは、この記事の設問では測っていませんが、無料プランが接点の中心であることは押さえておく必要があります。
4. スマホ利用61.9%——学生のAIはスマートフォンの中にある
主に使うデバイスを尋ねた結果、スマートフォン寄り(「ほぼスマホ」+「どちらかといえばスマホ」)が61.9%、PC寄りが24.2%でした。「ほぼスマートフォン」だけで46.4%を占めます。
デバイス | 割合 |
|---|---|
ほぼスマートフォン | 46.4% |
どちらかといえばスマートフォン | 15.5% |
半々くらい | 13.9% |
どちらかといえばPC | 13.5% |
ほぼPC | 10.7% |
業務用PCを起点に語られることの多い社会人のAI利用と比べると、学生の利用シーンはかなり異なります。スマートフォンで完結する使い方が主流だとすれば、長文の資料作成よりも、検索の代わりや短い相談といった用途が中心になっている可能性があります。
5. 文系89.3%、理系84.4%——専攻で差はあるか
専攻別に利用率を見ると、最も高いのは文系89.3%でした。
専攻 | n | 利用率 | ほぼ毎日 |
|---|---|---|---|
文系(人文・社会科学系) | 149 | 89.3% | 32.2% |
理系(理学・工学・農学・情報系など) | 77 | 84.4% | 32.5% |
医歯薬・看護・保健系 | 42 | 76.2% | 23.8% |
その他(芸術・体育・教育など) | 32 | 68.8% | 6.2% |
理系よりも文系のほうが利用率が高いのは、直感に反するかもしれません。ただし「ほぼ毎日」の割合で見ると文系32.2%・理系32.5%とほぼ並びます。ヘビーユーザーの比率は変わらず、ライトに使う層の裾野が文系で広いという構図です。レポートや文章を書く機会の多さが影響していると考えられます。
デバイスには明確な差が出ました。PC寄りの割合は文系19.5%に対し理系41.5%と2倍以上の開きがあります。同じ生成AIでも、使う場所と使い方が専攻によって違うことがうかがえます。
6. 低学年の利用率が90.6%と最も高い——学年で使い方は変わるか
学年を3つの群にまとめて比較しました。
学年群 | n | 利用率 | ほぼ毎日 |
|---|---|---|---|
低学年(学部1〜2年) | 85 | 90.6% | 38.8% |
高学年(学部3〜5年) | 174 | 82.8% | 21.3% |
大学院生 | 36 | 86.1% | 41.7% |
利用率は低学年が90.6%と最も高く、「ほぼ毎日」も38.8%に達します。入学時点ですでに生成AIが当たり前にある世代が入ってきていることを示す数字です。
大学院生も「ほぼ毎日」が41.7%と高く、研究での日常的な利用がうかがえます。逆に高学年(学部3〜5年)は21.3%と低く、就職活動や卒論など用途が特定の場面に寄るぶん、毎日は使わない層が厚いと考えられます。
活動別に見ると、利用率の差はさらにはっきりします。就職活動中の学生は100%、研究室・ゼミに所属する学生は97.7%、アルバイトをしている学生は97.4%が利用しているのに対し、何にも取り組んでいない学生は37.1%にとどまりました。生成AIの利用は、学生生活の活動量と強く結びついています。
7. 制限は56.0%、支援は18.0%——大学はAIを提供しているか
大学・学部での生成AIの扱いを複数回答で尋ねました(分母=全員300人)。
大学の対応 | 割合 |
|---|---|
レポート等での利用に条件付きのルールがある | 34.0% |
一部の授業・課題では禁止されている | 29.0% |
特に何も示されていない | 22.3% |
授業でAIの活用が推奨・指導されている | 13.3% |
わからない | 12.7% |
大学が有料の生成AIツール・アカウントを提供している | 6.3% |
全面的に禁止されている | 5.3% |
条件付きルール・一部禁止・全面禁止のいずれかを挙げた学生は56.0%にのぼり、半数以上が何らかの制限下にあります。一方で、大学が有料ツールを提供・推奨しているのは18.0%にとどまりました。
制限は56.0%、支援は18.0%。この非対称が現在の大学の状況です。学生の84.0%がすでに使っている以上、禁止の線引きだけでは実態に追いつきません。何をどう使ってよいかを示す側の整備が追いついていない、と読むのが自然でしょう。
8. まとめ:学生AI利用の現在地
今回の調査から見えたのは、次の3点です。
利用は前提になっている。 84.0%が使い、63.7%が週に数回以上使っています。「使うかどうか」を議論する段階はすでに過ぎています。
ただし環境は整っていない。 7割超が無料プランのみで、自分で課金しているのは10.3%。大学の提供・推奨は18.0%です。学生は自前の無料環境で、それぞれ独自に使い方を覚えている状態です。
使い方は社会人と違う。 6割がスマートフォン中心で、Geminiの利用率も社会人より高くなっています。PCと会社指定ツールを前提とした社会人のAI利用像を、そのまま学生に当てはめることはできません。
この学生たちが数年後に企業へ入っていきます。彼らが持ち込む習慣と、企業側の環境との間にどれだけの落差があるのか。次回以降の記事で、AIをどの段階で使っているのか(思考習慣への影響)、学生生活のどの場面まで入り込んでいるのかを詳しく見ていきます。
調査概要
- 調査名:学生のAI利用実態調査(2026年7月)
- 調査対象:全国の大学生・大学院生
- 有効回答数:300人(大学生258人/大学院生42人)
- 年齢:18〜34歳(平均21.8歳)
- 調査方法:インターネット調査(ユニーリサーチにて配信)
- 実施主体:株式会社データインサイト(自社調査)
- 回収方式:自然回収。割付・ウェイトバックは行っていません
回収サンプルの属性分布
- 専攻:文系49.7%/理系25.7%/医歯薬・看護・保健系14.0%/その他10.7%
- 学年:学部1年12.7%/2年15.7%/3年22.0%/4年30.7%/5年以上5.3%/修士1年4.3%/修士2年6.3%/博士1.3%/その他1.7%
- 大学:難関国立大学11.0%/早慶上理5.7%/MARCH・関関同立12.7%/その他の国公立16.0%/その他の私立44.0%/答えたくない10.7%
集計上の注記
- 利用ツール・料金プラン・デバイスの各設問は、生成AIの利用者252人を分母としています。利用頻度・大学の対応・属性は全300人が分母です。
- 使っていない理由の設問は、非利用者48人を分母としています。
- 専攻別の「その他(芸術・体育・教育など)」(n=32)は回答者数が少なく、参考値としてお読みください。
- 学年別の集計では「その他(研究生・科目等履修生など)」5人を対象外としています(合計295人)。
- 2026年6月調査(大企業勤務者460人)との比較は、別配信・別サンプルによる参考比較です。個人単位で接続したものではなく、分母の取り方も異なります。
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データインサイトは、AI Transformation(AX)を専門とするコンサルティングファームです。本調査のように独自の一次データを取得・分析しながら、企業の生成AI活用を設計から定着まで支援しています。
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