大企業の「時間をかける業務」とAI活用のギャップ ─ 会議で11.1pt・資料作成で9.4pt、AI化の余白はどこにあるか
大企業で働く人は、何に一番時間を使い、その業務のどれだけをAIに任せられているのか。データインサイトが従業員1,000名以上の企業・団体に勤める社会人460人に聞いた調査から、「時間をかけている業務」と「実際にAIを活用できている業務」の差分を見ると、時間はかかるのにAI化が追いついていない領域がくっきりと浮かび上がった。最も差が大きいのは会議で11.1pt、次いで資料作成で9.4pt。これらは、支援や仕組み化の余地が大きく残っている業務と読み取れる。
■ この記事のポイント
- 時間をかける業務のトップは文書作成46.1%、資料作成43.7%、情報収集32.6%(複数回答)。ホワイトカラーの時間は「つくる」作業に集中している。
- AIを活用できている業務は文書作成42.4%、資料作成34.3%、情報収集33.9%。一方で「AIを活用している業務はない」も20.4%残る。
- 時間と活用の差(ギャップ)が最も大きいのは会議11.1pt、資料作成9.4pt、専門業務8.3pt。時間はかかるのにAI化が進んでいない業務であり、支援の余地が大きく残っている。
- 資料作成でAIを「使っていない」人は31.7%。使われている中心はChatGPT36.3%・Copilot31.3%・Gemini22.4%。
- 資料作成の理想形は「AIに土台をつくらせ、自分で仕上げる」が48.9%と最多。全部をAIに任せたい人は12.8%にとどまる。
■ 1. 大企業は何に時間を使っているのか
まず「日常業務の中で時間をかけていると感じる業務」(複数回答)を見る。上位は次のとおりで、いわゆる「アウトプットをつくる」作業に時間が集中している。

文書作成と資料作成という2つの「書く・つくる」業務が4割を超え、突出している。大企業のホワイトカラーにとって、時間の使い道はまず「ドキュメントをつくること」にあると言えそうだ。
■ 2. そのうちAIが使えている業務はどれか
次に「実際にAIを活用できている業務」(複数回答)を見る。

文書作成は42.4%とAI活用が進む一方、「活用している業務はない」が20.4%残る点は見逃せない。時間をかけている業務の並びと比べると、AIが浸透している業務とそうでない業務のコントラストが見えてくる。
■ 3. 時間はかかるのにAI化が進まない業務
「時間をかけている率」から「AIを活用できている率」を引いた差分(ギャップ)を並べると、AI化が追いついていない業務が定量的に把握できる。ギャップが大きいほど、「時間はかかっているのにAIの手が届いていない」領域と解釈できる。

ギャップが最も大きいのは会議・打ち合わせ(11.1pt)だ。時間はかかるものの、AIによる議事録作成や要約などの活用がまだ十分に広がっていない様子がうかがえる。続く資料作成(9.4pt)は、そもそも時間をかけている率が43.7%と高いだけに、9.4ptのギャップが指す「未活用の絶対量」は大きいと考えられる。専門業務(8.3pt)、社内調整(7.8pt)、顧客対応(7.4pt)も、時間をかけている割にAI活用が進んでいない業務として並ぶ。
一方で情報収集・リサーチは唯一ギャップがマイナス(-1.3pt)で、時間をかけている率よりAI活用率のほうが高い。検索・要約系のツールが日常業務に溶け込み、AI活用が先行している領域と見てよいだろう。
ギャップが大きい業務は、裏を返せば「時間の負荷が高いのにAIの支援が届いていない=支援の余地が残っている」領域と読める。ただし本設問は業務ごとの選択率の差であり、同一人物の業務時間の増減を測ったものではない点には留意したい。
■ 4. 資料作成AIはどこまで使われているか
ギャップの大きい業務のうち、時間をかけている率が高く負荷の実感も大きいのが資料作成だ。そこで「資料作成に使っているAIツール」(複数回答)を見る。

汎用チャット系のChatGPT・Copilot・Geminiが中心で、資料作成に特化したツールの利用はまだ限定的だ。そして注目すべきは「使っていない」が31.7%を占める点で、資料作成に時間をかけている層が4割を超えることを踏まえると、負荷の大きい業務でありながらAIの手が届いていない人が一定数残っていることを示唆している。
■ 5. AI委任への志向
では、資料作成をどこまでAIに任せたいと考えているのか。「資料作成の理想的な進め方」(単一回答)は次のとおり。

「AIに土台をつくらせ、自分で仕上げる」が48.9%と半数近くを占め、最多となった。全部をAIに任せたい人(12.8%)は少数派で、多くの人は「たたき台づくりをAIに、判断と仕上げは人が」という分業を望んでいる様子がうかがえる。AIには任せたくない層も15.2%残るが、全体としては「土台の自動化」に対する期待が中心にあると読み取れる。
■ 6. (補足)AI活用の学びの場 ─ 別調査による参考比較
AI活用のギャップを埋めるうえで、人々がどこから情報を得ているかも参考になる。ここからは同じ大企業層を対象にした別の追加調査(n=400・別サンプル)による参考比較として、AI関連の情報源(複数回答)を紹介する。本体調査(n=460)とは別配信・別回答者のため、数値は直接の対応関係ではなく傾向の参考として捉えてほしい。
- 社内勉強会・研修:46.8%
- ニュースサイト:31.2%
- 特に情報収集していない:26.0%
- 技術記事・ブログ:19.0%
- SNS:18.8%
- 動画(YouTubeなど):18.0%
- セミナー・イベント:17.2%
- 書籍:13.8%
最も多い情報源は社内勉強会・研修(46.8%)で、大企業では学びの場が社内に置かれている傾向が見える。一方で「特に情報収集していない」が26.0%あり、学びの機会に触れていない層も一定数存在する。ギャップの大きい業務でAI活用を広げるには、こうした社内での学びの場づくりが一つの鍵になる可能性がある(※この項は別サンプルの追加調査に基づく参考値)。
■ 7. まとめ ─ AI化の余白はどこにあるか
今回のデータを重ねると、大企業のAI活用には次のような輪郭が見えてくる。
- 時間は「文書作成」「資料作成」というつくる業務に集中している(46.1%・43.7%)。
- そのうちAI活用が進んでいるのは文書作成(42.4%)や情報収集(33.9%)で、情報収集はむしろAI活用が時間投下を上回る(ギャップ-1.3pt)。
- 逆に会議(11.1pt)・資料作成(9.4pt)・専門業務(8.3pt)は時間はかかるのにAI化が追いついていない。ここに支援の余白が残っていると考えられる。
- 資料作成では31.7%が「AIを使っていない」一方、理想形は「AIに土台、自分で仕上げ」(48.9%)が主流。たたき台づくりの自動化へのニーズが読み取れる。
ギャップが大きく、かつ時間をかけている率も高い資料作成は、AI化の余白が最もわかりやすく残る領域の一つと言えそうだ。「AIに土台をつくらせ、自分で仕上げる」という多数派の志向に沿った形で支援を設計できれば、負荷の軽減につながる可能性がある。
■ 資料作成の負荷を、AIでどこまで軽くできるか
資料作成に時間をかけている人は43.7%にのぼり、その3割超(31.7%)はまだAIを使えていません。多くの人が望む「AIに土台をつくらせ、自分で仕上げる」進め方を、そのまま形にするのがデータインサイトの資料作成支援AI「Biz Benrie(ビズベンリー)」です。たたき台づくりを自動化し、仕上げは人の手に残す。資料作成の負荷にお悩みの方は、まずはトライアルでその効果をお試しください。
■ 調査概要
- 調査名:大企業AI浸透・活用実態調査(2026年6月/データインサイト調べ)
- 調査対象:従業員1,000名以上の企業・団体に勤める社会人
- 有効回答数:460人(従業員5,000名以上=243人/1,000〜4,999名=217人)
- 実施時期:2026年6月
- 回収方式:自然回収(割付・ウェイトバックなし)
- 主な回答者属性:
・役職:一般社員32.6%、部門長・マネージャー30.7%、リーダー・主任20.7%、契約・派遣8.5%、事業部長・本部長5.0%、経営層・役員2.6%
・部署:営業22.6%、その他17.6%、製造・生産12.4%、情シス・DX9.8%、人事総務法務9.1%、研究開発8.3%、経理財務6.5%、経営企画6.1%、カスタマーサポート5.0%、マーケティング・広報2.6%
- ・本文中の情報源(第6章)について:同じ大企業層を対象とした別の追加調査(有効回答400人/2026年6月に別配信で実施)の結果です。本体調査(n=460)とは別配信・別サンプルのため、数値は個人単位で結合しておらず、傾向の参考比較として掲載しています。
※本文中の数値は複数回答(時間をかける業務・AI活用業務・資料作成AI・情報源)を含み、複数回答の合計は100%を超えます。単一回答(資料作成の理想形)は回答者460人を分母とした割合です。数値は小数第2位を四捨五入しているため、内訳の合計が100%にならない場合があります。各セルの回答者数が30未満(n<30)となる細分項目は本記事では断定を避け、傾向として扱っています。
